2015年2月13日金曜日

【実録】 BRM207 伊豆高原300 帰宅まで


 はいこんにちわ、漬物ダイナパックです。
 お前は何を言ってるんだとお思いの諸兄におかれましては、続きを読めば謎が解けるのではないかと思いますよ。

 さて、ついに完結、BRM207 伊豆高原 300。平坦路と思われたコースに隠された罠と工夫、そしてまたもや露呈する私の準備不足と体力不足。完走後のお楽しみと帰宅してぶっ倒れるまでを書いていきます。やあ、ブルベってやってる最中はそんなにそんなに楽しいと思わないんですが、終わったりはじまる前ってすごくテンションあがるのはなんでなんだろ。





 てんててん てんててん♪というお決まりのアラームが iPhone から鳴った、と思ったらシビビビビと大音量でホテルの目覚まし時計が追随する。あわてて消しに行って一息つくもまだまだ眠いが体調は悪くない。おはようございます、と呟いて熱いシャワーを浴びて、無理やり目を覚ます。

 スタートの1時間前に宿を出ればちょうどいいかな、と考えながら前夜に買っておいたサンドイッチをほおばり、テレビの天気予報を見る。週間予報通り風もなく、快晴とはいかないまでも少なくとも雨は降らなさそうな気配。絶好のブルベ日和。

 んー、とひと伸びしてから、衣服を身に着ける。厚手の靴下、ウィンドブレークタイツ、ビブショーツ、おたふくインナー、ウィンドブレークなレーシャツ、フェイスマスクと反射ベスト。部屋の中で過ごすにはこれでも暑いくらいだ。

 窓を開けると冷気が流れ込む。そろそろ時間だ。部屋を片付け、フェイスマスクとヘルメット、アイウェアを身に着け、出発。

 スタート地点の兵庫島公園へはゆっくり行っても30分はかからない距離だ。汗をかかない程度を心がけながらペダルを回す。朝も早よから車がぶんぶん飛ばす横をビビりながら走ると多摩川にぶちあたる。土手に上り、たまサイ(たまがわサイクリングロード)とおぼしきものを見ていると、明らかにおかしい光量のライトをつけた自転車や反射ベストを着た人たちも見える。おそらく「お仲間」だろう。宮城のブルベは車で会場まで来る人がほとんどなので、少し新鮮な光景だ。

 兵庫島公園で受付。ブルベカードを受け取る。スタートは第2ウェーブ(0720時)とのことなので出走までは時間がある。スタッフの方ややっくるさん夫妻と談笑していると、ブリーフィングが始まる。





 ポイントを押さえた丁寧な説明が終わり、出走準備…と言っても、私の場合は etrex30 をリセットするくらいなもん。車検を受け、スタッフの方と喋っていたらあっという間に出走時間。今回も労せず最後尾をゲット。目標時間は設定しているものの今回もまずは完走を目指すことにしたい。

 朝日を浴びながらやっくるさん夫妻についていく。昨日に 40km ほど走っているとはいえ、久々のフラットペダル。軽いポジション合せはしているもののどこで脱力して回すのかを探り探り…見つけた。体調もおそらく悪くないし、気温もだんだん上がっている。風はないし天気は良好。ふむ、ブルベ日和だ!

 流石は都心。信号が多い。これは後半苦労しそうだなあ。とのんびり走って国道1号。車でも走ったことがない道を先に自転車で走っちゃうんだなあ。感慨深い…なんて思っている間もなく大きさと交通量にビックリ。都会ブルベ怖ぇ。原付やバイクは後ろからバンバン抜いてくるし、車も容赦なく幅寄せしてくる(ような気がする)。あー、うん、東北のブルベでも主要国道を通ることがあるけれど迫力が違う。これがいわゆる都市型ブルベってやつ?

 横浜駅を過ぎ、まさに都市の中を走って行く。高層ビル、信号、忙しそうに歩く勤め人、楽しそうに話をしながら、今から遊びに行くであろう人達。桜木町や伊勢佐木町と行った標識が出てくる、そんな街中を、反射ベストを着た我々が走るってのも凄いよね。

 予定休憩ポイントへ到着。うんうん、目標(グロスで 17km/h )オンタイム。信号が多かった割には優秀じゃないの。さて、我慢していたトイレを…え、トイレは当店にありません!?なんてこった、じゃあ次のコンビニまで行こう。そうかそうか、確かに街のコンビニってトイレ貸してくれないところ多いもんね…。発射スタンバイとどこかで声が聞こえたような気がするがそんなことはないないと必死に漕いで着いた次のコンビニ。トイレは貸してくれないとのこと。オーケー大丈夫。サドルにまたがった瞬間に恐ろしいほどの存在感を体内に感じ…てないないかんじてなんかないつぎ、つぎ、次だ。え、ダメですか。じゃあつぎのこんびにあああもうアカン。


 まさか街中で core dump するわけにもいかない。血走った目であたりを見回すとパチンコ屋さんが開店準備。開店前でほんっとうに申し訳ないのですが、と恥を忍んでトイレを貸してくださいぃひぎぃと頼み込む。快諾。よっしゃ行くぜ。


 ふぅ。


 あまりの(検閲削除)に自分でも引くくらいではあったがお腹の中はスッキリ。はっきりと体調も良いことがいろんなところから証明された。これは勝つる。何べんもお礼を言ってコースに復帰。

 今度は16号線を走る。海が近いはずなのだけど、あまりその片鱗は感じられない。潮の匂いがするわけでもないし。金沢文庫近くを通ってここがかの北条氏の…とちょっと感動し、金沢八景は既に往時の風景が忍べるわけもないってのはわかっていながらも残念だなあと思いながら PC1 へひた走る。このころには大分信号も少なくなっている。

 なにやら警官やパトカーが多くなってきた。なんかイベントでもあるのかな?と不思議に思いながら PC1 に到着。こちらも目標通りの時間。


 乳酸菌系飲料とチキンカツサンドをチョイス。胃腸の調子さえ保てればブルベほど楽しいものはないよね。コンビニで予算を気にせず豪遊できるんだから。〆に太田胃酸とキューピーコーワゴールドをぶちこむ。やっくるさんの旦那さんとお話ししてなぜ警察マシマシかをようやく理解する。そうか、御用邸が近いからか!

 PC1 を出発し、名前そのまんまの「葉山御用邸前」を右折。辻辻にパトカーだの警官だのが警棒を持ったり持たなかったりしながら警備している中、不審者と言われてもしょうがない自転車乗りたちが西へ西へと向かう。そして…海だ。海だ!ずっと山近くで暮らしてきた私にとっては、海ってのはそれだけでテンションが上がる。海の怖さを目の当たりにしてなお、この馬鹿でかい水たまり、砂浜、波に洗われる岩、白く砕ける波をみるとおおっと思うのよね。

 道はよし、追い風基調でド平坦。そりゃあ足もまわるってもんです。なぜかブルベ参加者ではなく、ローディが後ろについてしまったおかげで5人くらいを引く羽目に。いいんですかいボクを先頭にしちゃって。出力一定のペース走が笑っちゃうほど苦手な人間についてくるのは単純に体力を削るだけですよフフフ。

 などと遊んでるうちに今回唯一のグルメポイントへ到着。目標の20分前。よしよし。


 AJ たまがわスタッフのブログ読んでいてここにだけは寄ろうと思ったのよね。他にもこのコースにはイチゴ大福だの海鮮丼だのいろいろと楽しめるポイントはあるのだけど、そこで時間をロスできる余裕は私には無いのである。残念。



 揚げたて花井とのことなので小さい5個入りのを購入。隣のスリーエフというコンビニ(東北では見たことないなあ)の机をお借りして早速開封。試食。

 ああ、うん、優しい味。東北だともっと濃い味つけになるんだろうけれど、いやいやこれくらいで良いんです。白身のあまさ、野菜の甘み、油で上がったきつね色のところの香ばしさ。確かにこれは何枚でも行けそう。気温も言うほど上がらないだろうし、これはいざというときの補給食にしよう、とい 3 枚だけ頂いてしまっちゃうおじさん。んー、お土産に買って帰りたかった。

 もぐもぐ考えながらプロファイルシートに目を通す。PC2 までは平坦基調だし、この道のきれいさを考えればまだまだマージン稼げるなあ。これはイチゴ大福もいけるんじゃないの。やあ、楽しいブルベであることよ。都心部も走ることができるし、御用邸、海沿い、観光地とこんなに豪華なコースもないんじゃないかしら。

 さて、稼げるうちに稼いじゃおうと腰を上げるとちょっと膝に違和感が。まだ 100km も走ってないのになあとガッカリ。塩梅のいいフォームを探しながらの旅路はまだまだ続くってことか。


 観光地然としたところを抜けると、徐々に車の数が多くなってくる。と言っても、後ろからびゅんびゅん抜かされる感じではなくだんだん詰まって行く感じ。渋滞か。ボーナスステージがまだまだ続くと思っていただけにちょっぴり残念。路側帯を走行しながら極力車の邪魔にならないようにしていると後ろについていたローディ達がどんどん抜かしていく。とろとろと走っていると先で車両事故が発生していたようだ。これが渋滞の原因、というわけではなさそうだけど、気を付けなくっちゃ。

 PC2 に到着。得られたマージンはそのまんま、目標の20分前。他の参加者に挨拶しながらぱぱっと買い物を…と思ったらスタッフの某アーツさんとぜっとさんに遭遇。ダイナパック野郎という名誉ある称号をいただきつつ、恥ずかしい写真を撮られたりしつつしながらたまごパンとパスタサラダ、乳酸菌飲料をいただく。気温はかなり上昇して暑いくらい。ここからはアップダウンがあるコースだけど、なーに、標高差 100m くらいでしょ?丘じゃないですか。とはいえ、この渋滞はヤバい。さっさと行くにこしたことはない。

 身体的にはうーん、膝の違和感が痛みに変わりだしてる「気がする」ことと、いつものことだけれど右腕のみ疲労してきている。たかだか煩悩と同じ距離で変調をきたしているのが情けないと言えば情けないが、これまたいつものこと。走っているうちに悪化したり別の場所の痛みに変わったりするので特段気にせず出発。渋滞はまだまだ続く。

 と、思いきや徐々に渋滞は解消されると同時くらいだろうか、あっという間に曇り空。せっかく上がった気温も急激に冷やされ、あろうことか、ポツリポツリと雨粒がやってきた。が、なんじゃこりゃ。


 桜が咲いてるって噂は聴いてたけど2月だよ2月!どんだけ南国なのよここ!と興奮気味に写真を撮ろうとしてちょっとミスコース。危うく後楽園遊園地に入り込むところだった。危ない危ない。


 平坦区間はすっかり鳴りを潜め、急激なアップダウンが始まる。このあたりで亀太郎ジャージをちらちらと見ることができた。あ、そんなに最後尾じゃないのかも、自分。

 登って汗かいて下って汗冷えて。雨もポツリポツリ。着ないよりましか、とレインウェアを着て休憩地点へ急ぐ。今考えればこれが良くなかった。

 雨より問題なのは寒さだ。なるべく汗をかかないようにしていたものの、運動強度を上げないと寒い。あげれば汗をかく。レインウェアを着ていなければ蒸れることもなかったのだろう…おたふくインナーがびっちゃびちゃ。この汗が冷えてしまってものすごく寒い。暖かいものに甘いものを投入したら解消されるかなあ、と思いながらイチゴ大福で有名なお店を素通り。亀太郎さんたちは躊躇なく駐輪。脚力の差はこういうところに出るんやで…。


これはイカンと休憩ポイント手前のトイレでインナーをキャストオフ。ダイナパックに入れてきたと思った替えのインナーが…あれ、無い!?朝準備した時には…あ、ファブリーズした後に手荷物の方にしまっちまったんだ。やらかした。やっちまった。

 が、仕方がない。ビニール袋にびちゃびちゃのインナーを仕舞い込み、替えのインナーを入手するまではレーシャツを直に着ることにする。

 …あら?めっちゃあたたかい。なんで内部がぬれてないんだろう。Sportful の WS ASCENT JACKET って凄い、と一人感動しながらレインジャケットは一応着ておく。自販機でコーンポタージュを買って亀太郎さんたちがパスするのを見ながらこちらもスタート。

 PC3 までは登り基調。単純に登るのではなく、斜度の激しいアップダウンが細かく入るもんだからまあ体力が奪われるうばわれる。あれ、このブルベってド平坦じゃなかったんだっけ。事前調査が甘すぎた。何件かコンビニを見つけたものの、反対の位置にあったためインナー購入はできず、という言い方よりも、直接レーシャツを着てるだけのこの状態が超快適。冬場のブルベのためにと大枚をはたいた甲斐があったってもんです。

 のぼりではアップアップ言いながら、ダウンではだらだらと。這う這うの体で PC3 についたのはほぼ目標時間通り。20分あったマージンは使い切ってしまったモノの、グロスで 17km/h は維持できてるという事であり、私にしてはなかなかの快挙である。

 さて後半戦。ここでがっちりご飯を食べ、足りないものを補充する。


 普段のブルベでは絶対食べない濃いめのパスタとサンドイッチ、そしてここでもヨーグルトを投入。とにかく胃腸が無事なら何とかなるのだ。そして締めの太田胃酸とキューピーコーワゴールド。私にとって太田胃酸はまさに神薬であり、これさえ飲んでおけば胃もたれ胸焼けからは解放される優れもの。おそらく、おそらく副作用もないであろうこの薬、いーい薬です(CMどおり)。

 参加者の方と談笑しながらまくまくと食べる。女性の方なのだけど、ついぞ一回しか抜くことができなかった。健脚だよなあ。

 ご飯を食べ終わり、装備を確認。インナーシャツが必要だし、単三電池も補充しておこう。尾灯はまだまだ持つだろうし。と、珍しいことに一つの PC で 2 回に分けて買い物をする。思ったほど遅いペースではないという安心感からなのか、これから後半戦と鼻息が荒かったからだろうか。



 とにもかくにも出発だ。今から来た道を戻らなきゃいけないってことはまたあのアップダウンかあと考えながらなぜか横断歩道を渡り、上り方向に出発する。100m ほど登ってあわてて戻る。なんで GPS があるのにミスコースるのか。私の頭も大分腐ってきているようだ。

 ともかく夜戦だ。1700時から0300時くらいまではライトの灯りを消すわけにはいかない。中華ライトはいまいち不安があるのでまだまだつけない。さあ、今回初投入の GENTOS XB-356B の出番がやってきた。単三 2 本での明るさは他のライトの追随をおそらく許さないだろうし、軽い。カタログスペック上のランタイムも素晴らしい。寒くさえなければ夜間走行は大好きである。楽しいライドになりそう。さあ、夜をぶっ飛ばせ…っとと40分後に電池キレ警告。んー、朝にちょっと使ったのと、トンネルでちょこちょこ使ってたからかなあ。さくっと電池交換。こういう時に IKEA 製電池しか持ってなかったのはちょっとダメだったな。


 電池交換直後の明るさがこんな感じ。十二分。カーブの先まで照らせるかと言われれば無理だけど、のんびりダウンヒルする程度なら全然問題なし。配光パターンも近くが暗く遠くが明るい理想的なパターン。いいよいいよー。

 一度来た道って、なぜか短く感じるのよね。あっという間に次の休憩ポイント。幸いにして本格的な雨には全く当たってないけど、路面はびしゃびしゃ。結構ふったのね。



 休憩ポイントに到着したのは目標時間どおり。トイレを貸してもらい、珍しくコーラなんか飲んじゃう。久々のカフェインはなかなかガツンと来てくれて、各種痛みもだいぶ和らぐ。眠気も全くない。調子いい調子いい。神の声が聞こえたので、このあたりで芍薬甘草湯を一包服用。それにしても、暑い。防寒手袋から100円ショップの軍手に手袋を変更し、レーシャツの前ははだける。人様に見せれるほど綺麗な胸元ではないのだけど、この際四の五の言ってられない。いい齢したおっさんが半裸で次の PC4 を目指す…あれ、XB-356B のバッテリー警告灯がまた赤くなってる。やっぱり IKEA 電池は良くないのかなーと電池を購入。安心のパナソニックブランド。これなら文句はあるまいて。市街地でそんなに灯りはいらないだろうけれど、一応中華ライトにも火を入れる。本格的な夜戦の始まりだ。

 えっちらおっちら登って PC5 に到着。ここでもオンタイム。調子はいい。宮城 400 で見た素敵マシンを見かけたので思わず話しかけてみたりする。前輪はハブダイナモ、細見のフレームはクロモリ、後輪は内装10段なのかな、まさしく私が理想とする自転車。下手なカーボンよりずっとよく走るだろうし、内装であることはトラブルも少ないだろうし、ハブダイナモはいろいろな制約から自由になれそうだし。まさに垂涎の的…と、じっくり見ている余裕もなく、ここいらでもう一発翼を授かる。カフェイン万歳。


 ここまでくれば、ちょこまかしたアップダウンはあるものの物の数ではない。足首のアキレス腱側が油が切れたようにギシギシ言ってるものの痛みはさほどないし、心配していた膝はもう問題ないレベルになっている。右腕がかなりやられている気がするのでここでコリホグス錠を投入。薬物依存ランドヌールと呼んでくれ。

 いくら太田胃酸を飲んでいるとは言ってもさほど濃いモノを食べたいとは思わなくなっていたため、セブンイレブンで胃に優しいと思われるふんわり卵の親子丼とヨーグルト飲料を摂取。下品な食べ方ではあるだろうけど、ぐちゃぐちゃに混ぜてしまってなるべく米をふやかす。おいしさもちょっと減じてしまうけれど、油断をするにはまだ早い。神薬があるとは言っても、ね。

 そして、休憩中にまーた赤ランプが点灯する XB-356B。おっかしいなあ。室内実験では4時間は余裕で持ったのに。さっきからまだ一時間もたってないぞ。電池の品質には問題がないはずなのに何なんだ、いったい…まあいいや。気にしていてもしょうがない。サブライトが死んだからと言って問題はないのだよ。メインが生き残っていれば大丈夫。大丈夫だったら。


 とはいえ、何かあった時に備えて今度は明るいところで消して、暗いところでは付けて…とメインライトとハブライトの間を照らすように運用してみるとあっという間に赤ランプ点灯。次の休憩ポイント前に電池交換をするハメに。アカン。アカンがな…と幾分意気消沈しながら予定の休憩ポイントへ。目標より2分オーバーですと?これはアカン。メインライトが死んでるんならまだしもサブライトの調整でこんなことになるなんて。疾く出発だ。


 そして20分後―ついにメインライトのバッテリーが切れた。イカン、今回はいつもの長持ちバッテリーじゃなくて瞬発系の電池を持ってきてしまったのか。それでもミドルモードで4時間持ってくれたんなら文句の言いようはない、が、18650電池4本がタダの荷物と化したことには変わりない。そして、信頼できるライトはハブライトだけになってしまったってことか。Damn。ええい、仕方がない。ハイモードではなくローモードで運用しよう。せめて2時間持ってくれれば休憩ポイント以外で止まる必要はなくなるだろう。そうしようそうしよう。

 結局ローモードでも40分ほどしか持たないという驚愕のランタイムを誇ってくれた。手持ちの電池をぶちこみ、それでも足りなくなって、コンビニに止まっては電池を買い…俺は PC 意外のレシートを集めるために走ってるんじゃないんだけどなあ。

 心折れそうになりながらも電池を換え続け、走り続け、ついに海から離れた内陸に入ることになった。気温は一気に低くなるが、体温はきちんと維持できている。補給に成功していることもあるだろうけれど、Sportful のジャケットのおかげであることは間違いない。また電池が切れた。空を仰ぎ見れば湘南モノレールのごおんごおんという音だけが鳴り響く。くそっ。

 あーもーしゃあねえなあと最寄りのコンビニによると、胸に痛みが。あだだだ。なんだこれ?知ってる、知ってるぞこの感覚。何の準備もなくランニングをやると必ずやるアレ。乳首が擦れたんだ。ビブショーツの紐の部分が原因か…。
 仕方がないので PC3 で買ったシャツを着る。いわゆる速乾性のモノではなく、木綿なので乳首への攻撃性は低い。しかも気温が下がってきているのである意味ちょうどいいタイミング。電池を補充して PC5 へむかう。

 到着はおそらく、目標から20分ほど遅れた時間。とるものとりあえずコンビニに入り、しばし逡巡してからウィダーインゼリーを手に取る。胃腸の調子は悪くはないし、食べればモノは食べられただろうけれどすでに時間が押している。ならもう栄養だけ取って行くしかない。

 と、レシートをゲットして入り口に向かうとにこやかに佇んでいる人がいる。あれ…あれ?ぷらさんだ!


 当日東京シクロクロスがあって疲れていたはずなのにわざわざ応援に駆け付けてくれました。こういうサプライズは飛び上るほどうれしいですね。しばし談笑してからお別れ。

 目標からのビハインドがなんだ。ツイッターでも応援してくれてる人はいるし、スタッフのみなさんだって「あのヤロー大丈夫かな」と待っててくれる。こうやって応援しに来てくれる人もいる。クローズの時間まで 1 時間 30 分以上で。残り距離は 37km。これを3時間半かけて走るなんて余裕余裕。ライトは相変わらず不安だし、そろそろ右腕が限界近くなってきたけれどまだまだイケる。いざ行かん、信号峠!


 最終休憩ポイントには 38 分ビハインドで到着。あきらめてたくさん電池を買ってしまえばいいのにちまちま買ってちまちま詰替えたのが敗因であることは言を俟たないorz。ここまでくれば焦っても仕方がないのでコーヒーを買って一服。土曜の夜、酔っぱらったカップルがこういう自転車良いよねーなんて言ってるのを聞きながらちょっとだけ目を閉じる。眠気は全くないけれど情報を少しシャットアウトしただけでだいぶいろいろなものが回復する。思考回路、判断力、痛み、などなど。

 残り19km。信号峠がなければ 1 時間もかからない距離だ。疲れもない。あるのはちょっとした痛みだけ。ライトのご機嫌を損ねないようにゆっくりと出発。

 信号につかまりながらたらたらと走り、横浜駅をパス。大都会を抜けると川にぶち当たる。おお、多摩川よ。私は帰ってきた。意気揚々と橋を渡り、しばらく走ると川にぶち当たる。おお?こっちが多摩川ですよねすみませんと前を向くと二子玉川の灯りが見える。ん、帰ってきた帰ってきた。




 ゴールの癒しふれあい館についたのは、結局目標より 47 分遅れの 0155 時。いつもなら「いやあ、非道い目にあいました」なんて言いながら受付に行くのだけど、考えてみれば今回は何も非道い目にあってない。胃腸も問題なく、景色は最高。本当に楽しいだけのブルベ。ライトの問題は自己責任だから関係ない。本当に全編、純粋に楽しむことができた一日だった。


「お疲れ様でーす」
「お!来た来た!遅いよ漬物さーん!」
「いやいやあはは、受付してくださいなー」
「あーそこ座ってて!暖かいものもあるけどいる?」
「今はだいじょぶでーす。」

 と、一気に日常から非日常に戻るような瞬間。冷静に見渡せば10人ほどのランドヌールが死屍累々という部屋の中なのだけど、人間と会話するのはとても久しぶりで、それだけでなんかこう、日常に帰ってきたなあと感じるわけ。部屋の隅にちょこんと座り、レシートを整理する。これはPC、これは休憩ポイント。あ、これは蒲鉾店か、おいしかったなあ。



 …アレ?









 いやいやいやいやまさかまさか。








 PC3のレシートないんですけど。











 PC3 のレシートないんですけど!!!!




















 顔面からさーっと血が引くのがわかる。あれ、だって、2回も買いものしたよあそこで。パスタ喰ってたよね。アレ?会計はすべてカードだから、レシートと一緒に財布にぶちこむよね?


「あ、漬物さん受付先どうぞー。私スタッフなんで」
「あ、はあ、アハハ」
「はいはい、お待ちしてましたよ漬物さん。はい、ブルベカードとレシート出して―」
「えっとね」
「ん?」
PC3のレシートがね?
「はい?」
「PC3のレシート無くしちゃったみたいで…」


 えええええ、と大騒ぎ。ダイナパックからジャケットからすべてひっくり返してもないものはない。ツイッターをチェックしてもらって確かに PC3 にいた「ようだ」と言うのは確認できるものの…確証はない。

「はい、この人PC3で見かけた人―!」



(一瞬の沈黙)




「あ、はい、見ました見ました!」



 おお、あなたが神か…そうそう、PC3 でお話しさせていただいた女性の方がたまたまそこにいてくれたお蔭で無事に PC3 にいたことが証明された。ありがとうございますありがとうございますと思いつつも恥ずかしくて恥ずかしくて。小っちゃくなってると「っていうかいいですかみなさん、このレシート忘れた人スタッフやってる人ですからね!」とありがたくないご紹介などされてしまう。いやあ、不覚。何があったんだと思い返してみると、確かにうん、あの時、1リットルの水を買ったんだけど、その袋にレシートを滑り込ませた記憶がある…。あと、シャツもそうだ。シャツを買ったレシートもなぜか袋に入れて…着替えた場所で袋を捨ててきた。嗚呼。俺ぁ一体何やってんだorz



 まあでも、とりあえず認定はおりたみたい。安心感から口も軽くなる。自転車を輪行袋に突っ込み、談笑タイム。癒しふれあい館はさながら部室のような態となり、ブルベ界の話やスタッフ業の話などに花を咲かせながら、やっくるさん差し入れのビールを飲み、いしあみさんやぴかさん、ぜっとさんやアーツさんたちとおしゃべりしながら夜はさらに明けていくのであった。




■ 今回の反省点
 ・ 中華ライトの品質を過信しない
 ・ 日本メーカーのライトだからって信じない
 ・ 新しい装備をいきなり実戦投入しない
 ・ インナーの換えを用意しておく
 ・ レシートは忘れない ← New!



 その後、始発が動き出すまでビールを美味しく飲んでもそもそと二子玉川から大井町、そのまま東京駅から予約していた新幹線に飛び乗って仙台。地元駅には奥様に迎えに来てもらって家に帰りました。これくらい輪行を経験すると輪行は怖くない、と思えるようになりますね。一番の収穫かも。


 何はともあれ、前回の雪辱は果たすことができたし、装備の問題点も見えたし…というより、何よりも本当に楽しいいろいろなステージを巡らせてくれるブルベでした。準備・運営をしてくださった AJ たまがわのスタッフには心から感謝いたします。ありがとうございます。
 また、ツイッターでもなんでもそうですが応援していただいた方が居るからこそ心折れずに完走ができるってもんなのです。特に、ぷらさん、いしあみさんには超感謝。私もこういう応援団になりたいし、成れるように頑張りたいところ。本当にありがとうございます。

 次は那珂川300。夫婦で参戦となります。さて、どうなる事やら…。お楽しみに。

2 件のコメント:

  1. 改めてお疲れ様でした。
    ゴール受付で待機した身には
    ”レシートが。。。”とおっしゃっていた漬物さんのやや泳いだような視線が忘れられませんw
    それにしても折り返しPCで良かったですよね
    途中の通過PCだと他の参加者さんの記憶にも残りづらかったでしょうし。

    返信削除
  2. 出張ブルベお疲れさまでした!完走おめでとうございます。
    レシート・・ 私もやりました ^_^;; 血の気が引く気持ち、分かります〜。
    PCでは人と会話しとくものですよね〜

    返信削除